「もっと早く読みたかった~!」
新刊『頭のいい説明は型で決まる』犬塚壮志著(PHP)を読みました。
著者の犬塚さんは業界最難関と言われる駿台予備校に当時史上最年少で採用されたカリスマ講師。現在は、東京大学大学院で学習環境の研究をされています。
「これをもっと早く読んでいたら授業の質がさぞ違っていただろう」と強く思いました。
私も大学時代から塾で先生をしてきたのでわかりますが、先生をやっていると常に「生徒にどれだけ伝わっているか」「生徒にどれだけわかってもらえているのか」で悩むものですが、この本は「伝える」「わからせる」にとことんこだわっています。
この本で特に役立ったのは
「あなたの説明がわかってもらえない『3つの原因』」と「黄金の法則『IKPOLET法』」です。
「あなたの説明がわかってもらえない『3つの原因』」とは
1 相手が聞く態勢がとれていない
2 そもそも自分自身が内容を理解していない
3 相手のもっている知識を自分が把握していないの3つ。
個人的には「2」が結構あると思っていて、先生自身がなんとなくわかっている中途半端な状態で授業をすると、生徒たちの目はとたんに「とろーん」となり、ほどなくみんなオネムになり、だれのためにもならない残念な授業になってしまいます。
逆に、先生自身がよくよく理解して楽しんで授業をすると生徒たちにも伝わり、お互いにとって為になる授業となります。
そして、説明をわかってもらう黄金の「IKPOLET法」とは次の7つ。
1 Interest 興味を引く
2 Knowledge 聞き手の知識にアクセス
3 Purpose 目的を示す
4 Outline 大枠を見せる
5 Link つなげる
6 Embodiment 具体化 Example 事例 Evidence 証拠
7 Transfer 転移
本の中ではそれぞれを一項目ずつくわしく説明してくれています。
中でも1 Interest 興味を引く の中に書いてあった「矛盾を入れる」「秘密を醸し出す」は否が応でも生徒たちの興味を引いてしまう憎いやりかたで効き目抜群だと思いました。
あと、この本の中で筆者の犬塚さんは「10年間自分の講義の記録を取り続けてきた」「生徒と初顔合わせをする前に、生徒のそれまでの模試の結果や志望大学のリスト、さらには出身高校などをできるかぎり頭に入れます。そのあとに抗議のイメージトレーニングを行って講義に臨む」とさらっと書いていましたが、これらはなかなかできないこと!
「ここまでやるんだ」「すごい」と素直に思いました。
他にも、「こんなスキルをつかっていたんだ!」と感心させられる方法論が多数。