「やっぱり授業っていいな」

「仲間はずれにされているのかな?」

ある6年のクラス。生徒は10人。うち、女の子が5人。

4人の女の子たちは授業前や後の休み時間に一緒にトイレに行ったりおしゃべりしたりしているのに、ある1人の女の子だけがじっと自分の机のところから離れない。表情も硬い。

全然事情が分からないが、なんとなくその子1人の子だけ仲間はずれにされている感じがした。

 

休み時間が終わり、国語の授業が始まる。

今日は文章の「要約」の回。

できるだけこちらからは教えないで子どもたち自身にやらせようということで、まず「要約」で自分が使いたい部分にーーー線を引かせた。ノーヒントでやらせているので文章に集中しないとできないはずである。

みんな真剣にやりだした。

4人の女の子たちも、例の1人の女の子もみんな同じ問題に同じ前かがみの姿勢で取り組んでいた。

というか、クラス全員とも同じ姿勢で取り組んでいた。

それを見てふと、

「ああ、やっぱり授業っていいな」

と思った。

 

いろいろあるのかもしれないけど、

「この瞬間はみんな一緒になれている」

と思えた。

 

ちなみに、例の女の子のテキストのーーー線を見ると、とてもよくできていたので、

「おー、やるじゃん」

と声をかけるとちょっとうれしそうだった。

 

授業が終わった後、例の女の子が教室のドアのところで

「ありがとうございました!」

と1人、大きな声で帰っていった。

 

ちょっとは元気になれたのかな?

とふと思った。