かかりつけ医を目指す

こんにちは。

今週、ある生徒さんの指導をしました。

いわゆる優等生タイプの子で特にこちらから何かを叱る点はありません。

雨の日も風の日も毎回欠かさず指導を受けにきてくれ、こちらの言うことをよく聞いてくれてえらいくらいです。

しかし、成績がいまひとつあがらないのです。

「何が悪いのだろう?」

と思っていましたら、あることに気づきました。

私は指導中に

「いまのこの問題、わかった?」

などとよく子どもに確認するのですが、この子はだいだい

「はい。わかりました」

とまじめな顔で返事をします。

それで私も

「よし。それなら次にいこう」

と残りの指導時間も考え、次々に問題を解説しようとします。

この子も従います。

しかし、今日は

「何が悪いのだろう?」

と考えていたこともあり、今まで通りに進めるのがなんとなくはばかられ、ここはもう一歩踏み込んでみようと思い、

「〇〇くん、『はい。わかりました』と言ったけど、どういうことかもう一度(私が言ったことを)説明し直してもらえる?」

と聞き直してみました。

すると、全然言えませんでした。

結局よくわかっていないのでした。

よくわかっていないけれど、そういっては(私に)悪いから「わかりました」と気を使ってくれてくれていたのかもしれません。

私が塾の先生なりたいと思ったのは子どもと本音でぶつかり合えるから、というのがもともとあったのですが、これではお互いに表面だけのつきあいをしてしまっているようなものです。

わからないことはわからない、と言えるようにしてあげたいし、私もついつい効率を重視してそういうところを忘れてしまっていたのかもしれません。

「先生と生徒とがお互い遠慮していては力はつかない」と改めて思いました。

あと、もうひとつ気づいたことは

「子どもに悪気はない」

ということです。

もちろん、いろんな子がいますから一概に言えませんが、少なくともこの子についてはそう言えます。

この子に「今の問題わかった?」と聞いたら「はい。わかりました」と言われたわけですが、このときの子どもの様子はけっして嘘ではなく本当のことを言っているようでした。つまり、子どもはわかったと思っているのです。が、よくよく聞き直されてみたらわかっていなかったということなのです。

話が飛びますが、以前、頭痛、吐き気がひどく、かかりつけのお医様に診てもらったときに症状を言い、「かぜだと思うのですが」と言ったことがありました。自分としては本当にそう思って言ったのですが、お医者さんはさらにより細かく症状や事情を聞き、聴診器を胸や腹に当てるなどしてこうおっしゃいました。

「これはウイルス性の胃腸炎ですね」と。

それで、実際にその薬を服用したら治りました。

お医者様は患者(私)の言うことを聞きます。私が嘘を言っているとも思いません。が、それをそのまま鵜呑みにはせず、本当のところを突き止めようとします。そうしないと実際、治せないので。

これぞプロです。

このお医者様とのことがあったので、私も今回子どもの真相に気づけたのかもしれません。

子どもとやりとりしていると本当に気づかされることがあります。

塾の先生というのは生徒からしたらかかりつけのお医者さんなのかもしれません。

「教師のはしくれとしてこういうお医者様を目指したい」

と改めて思いました。